黒米のこと

アントシアニンなど１１の栄養素が入っている「漆黒のサプリ」と呼ばれる黒米。体内の活性酸素を取り除くはたらきがあるアントシアニンは老化対策にも役立つ。ミネラルや食物繊維をたっぷりと含んでいる黒米は、家族の健康と美容の両面をサポートができる。カツヤは毎日のごはんで手軽に食べられる商品を消費者のみなさんにお届けしたいと考えていた。その想いに応えてくださったのが松田さん。2015年、松田さんとカツヤの黒米作りが始まった。

農家 松田義則（まつだ よしのり）さん

広島県三原市大和町に広がる綺麗な田園風景の中で農業を営む松田さん。以前カツヤで販売していた「まつださんのヒノヒカリ」「まつださんのひとめぼれ」などまつださんシリーズは当時大人気で、今でも問い合わせがある。長年稲を育ててきている松田さんにカツヤは絶大な信頼をおいている。

うるち米（白米）を育てていた田んぼを黒米に切り替えるのはたやすいことではない。田に残った昨年までの稲から穂が出てうるち米が混じってしまったり、隣接するよその農家の田んぼに黒い稲が生えてしまわないよう場所管理にも細心の注意を払う必要がある。収穫・脱穀・籾摺りの際には、先にうるち米、次は黒米、とその都度機械を清掃しなくてはならない。それぞれに別の品種が混じってしまうと商品として出荷できないからだ。（清掃だけで数万円かかる！）それにくわえ、黒米は未知の品種である。同じ稲とはいっても勝手がまったく違い、肥料や農薬の配合など試行錯誤の連続。これを１年通して続けるのである。こころよく引き受けてくださった松田さんのご苦労がおわかりになるのではないかと思う。

黒米作りをはじめて2年目。「ようやく生産が軌道に乗ってきた」と手ごたえを感じた松田さん。ついに見違えるようなきれいな漆黒の商品ができたのだ。

次の挑戦「特別栽培米」への道

安定した黒米生産にほっとする間もなく、カツヤは次のステップに挑戦したかった。広島産「特別栽培米」としての商品化だ。

特別栽培米とは、節減対象農薬（使用回数）と化学肥料（窒素成分量）の使用が５割以下で生産された農産物のこと。安心して購入することができることを県が認証した米としてお届けできる制度だ。玄米である黒米は農薬とともに食べることになるから、その使用量は大事だ。「安心・安全」にこだわるカツヤにとって是が非でも取り組みたいことだった。

当然ながら松田さんの協力が欠かせない。だが、減農薬・減肥料をするということは、軌道に乗った生産体制をまた一から見直さねばならない。そして、単純に収量が減る。松田さんにとってはデメリットが上回るのだ。しかし思い切って伝えてみた。

「松田さんの黒米を、特別栽培米として育ててはもらえませんか？」

当初、返事はノーだった松田さんだが、カツヤの全面サポートの約束を条件に最後には、一緒に挑戦する、と言ってくださった。「特別栽培米」商品化への道は、そこから始まったのだ。

ついに誕生、広島産の特別栽培米黒米

松田さんとカツヤはひたすら取り組んだ。

化学農薬、化学肥料は？
農薬と肥料を減らしたうえでなお収量を維持できるか？
この肥料を使ったらどうなる？
年間とおして病気にかからないためには？

関係各所色々なところへ聞いて回り、教えていただく日々。現場の写真を何度も撮って広島県への申請書を何度も書き換えた。

そして挑戦を始めてから2回目の秋を迎えた。2018年ついに広島県三次市大和町産の特別栽培米黒米が誕生したのだ。今でもそのときのことを思うと松田さんと喜び合った場面が思い出される。

黒米作りは天候に大きく左右される。黒々としている年もあれば多少色素が薄いかなと思われる年もある。病気や虫の被害にあうことも少なくない。
それでも消費者のみなさんに「安心・安全」の黒米を食べていただきたい。

これからも、カツヤは特別栽培米の黒米をお届けしていく。松田さんのお力添えをいただきながら……。